物流の仕事を辞めたい30代へ|退職前に整理したい5つのこと
収入が下がらないかも心配だな。
そもそも、いまの経験が他社で通用するんだろうか。
こんなお悩みを解決していきます。
どれも先に答えが分からないと、すぐには動けないものです。
結論から言うと、つらさを我慢し続ける必要はありません。ただし、勢いだけで退職すると、生活費や転職先選びで焦りやすくなります。まずは辞めたい理由、心身の状態、生活費、これまでの経験、次の職場に求める条件の5つを整理しましょう。
私は物流業で10年、倉庫の整理・運営、営業、見積、ピッキング、大型トラックの運転、フォークリフトによる荷受け・荷卸しなどを経験し、その後、建設業の現場管理へ転職しました。
物流の経験は、物流会社の中だけで使えるものではありません。安全、段取り、在庫管理、時間管理、周囲との連携など、別の仕事でも伝えられる力があります。
この記事では、退職を急かすのではなく、30代の今だからこそ確認したい判断材料を順番に解説します。
物流の仕事を辞めたい30代が、最初に整理したい5つのこと
退職届を書く前に、次の5つを紙やスマートフォンのメモに書き出してみてください。
- 何が一番つらいのか
- 心身の状態に緊急性がないか
- 退職後の生活費をどのくらい準備できるか
- 物流の仕事で身につけた経験は何か
- 次の職場で譲れない条件は何か
すべてを一度に決める必要はありません。まずは「今の職場を離れたい理由」と「次は何を変えたいか」を分けて考えることが大切です。
1. 何が一番つらいのかを具体的にする
「物流を辞めたい」という気持ちの中には、複数の悩みが重なっていることがあります。
- 重い荷物や長時間の立ち仕事で体力的にきつい
- 夜勤や交代勤務で生活リズムが整わない
- 残業や休日出勤が多い
- 給与や手当が仕事内容に見合わない
- 人間関係や指示の出し方に悩んでいる
- 将来も同じ働き方を続けられるか不安
- 経験が増えても評価や役割が変わらない
原因によって、選ぶべき対策は変わります。
たとえば、仕事内容自体は嫌いではなく、夜勤だけがつらいのであれば、物流業界を離れなくても日勤中心の倉庫や在庫管理の求人を探せるかもしれません。一方で、体力面と将来性の両方に不安があるなら、現場作業の比率が低い仕事や異業種も含めて考える必要があります。
「物流が嫌だ」で終わらせず、次の3つに分けて書くと整理しやすくなります。
- 今すぐ変えたいこと
- できれば変えたいこと
- 今の職場で気に入っていること
気に入っていることも書くのがポイントです。次の職場で残したい条件が見えてきます。
2. 心身の状態に緊急性がないか確認する
転職の準備より先に、心身を守ることが必要な場合もあります。
眠れない、食事が取れない、出勤前に強い不安が続く、仕事中の安全を保てないほど疲れているといった状態がある場合は、一人で判断を抱え込まないでください。医療機関や勤務先の相談窓口、公的な相談窓口などにつながることを優先しましょう。
厚生労働省の「こころの耳」相談窓口では、働く人や家族を対象に、仕事や人間関係、過重労働による心の健康への影響などについて、電話・SNS・メールの相談窓口を案内しています。
また、残業代、長時間労働、労働条件などに疑問がある場合は、厚生労働省の「労働条件相談ほっとライン」で、法令の説明や関係機関の案内を受けられます。
転職活動を計画どおり進めることより、健康と安全を守ることが先です。
体力面のつらさが中心の場合は、「倉庫作業がきつくて辞めたいときの判断基準|体力・給与・人間関係を整理」で、体力・給与・人間関係に分けて確認できます。
3. 退職後の生活費を確認する
次の仕事が決まる前に退職する場合、収入がない期間をどう過ごすかを考える必要があります。
最初に、毎月必ず出ていくお金を確認しましょう。
- 家賃や住宅ローン
- 食費と光熱費
- 通信費
- 保険料
- 車の維持費
- ローンや分割払い
- 家族に関する支出
そのうえで、現在の貯蓄で何か月生活できるかを計算します。必要な金額は家族構成や住んでいる地域によって違うため、「何か月分あれば必ず安心」と一律には決められません。
余裕が少ない場合は、在職中に求人を確認し、応募書類を作ってから退職時期を決める方法があります。心身の状態から在職を続けるのが難しい場合は、無理に同じ進め方をする必要はありません。自分の安全と生活の両方を見ながら判断してください。
退職日を決める前には、会社の就業規則、給与の締め日、残っている有給休暇、退職後に必要な保険や年金などの手続きも確認しておくと、想定外の負担を減らせます。
4. 物流の経験を「作業名」だけで終わらせない
30代の転職では、これまでの経験をどう説明するかが重要です。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」の倉庫作業員ページでは、倉庫作業員の仕事として、搬入・搬出、検品、保管、在庫管理、仕分け、記録、安全管理、整理整頓などが挙げられています。
職務経歴を整理するときは、「ピッキングをしていた」「フォークリフトに乗っていた」だけで終わらせず、次のように一段深く書きます。
| 担当した仕事 | 経験として伝えられること |
|---|---|
| ピッキング | 正確性、作業手順の理解、時間管理 |
| 入出庫・検品 | 数量確認、誤出荷防止、記録管理 |
| 在庫管理 | 保管場所の整理、先入れ先出し、欠品防止 |
| フォークリフト | 安全確認、周囲との合図、荷物に合わせた操作 |
| 倉庫運営 | 人員配置、作業の優先順位、進捗管理 |
| 営業・見積 | 顧客対応、条件確認、費用と作業内容の調整 |
| 大型トラック運転 | 時間管理、安全運転、配送先との連携 |
書き方の見本は、作業員の経験なら「倉庫内作業の職務経歴書の書き方」にまとめています。
私の場合、物流から建設業へ移った後も、安全を優先する考え方、作業の順番を組み立てる力、周囲と連携する力は役立ちました。
厚生労働省の「マイジョブ・カード」では、これまでの職業経験、得たスキル、免許・資格、価値観、強み・弱み、今後のキャリアプランを整理できます。自分だけでは強みが見つからないときの土台として使えます。
5. 次の職場で譲れない条件を決める
辞めたい気持ちが強いと、「今の職場以外ならどこでもいい」と考えやすくなります。しかし、条件を決めずに転職すると、同じ悩みを繰り返す可能性があります。
次の項目を、譲れない条件と調整できる条件に分けてください。
- 日勤・夜勤・交代勤務
- 休日数と曜日
- 通勤時間
- 月給、賞与、各種手当
- 残業時間
- 仕事内容と体力的な負担
- 転勤の有無
- 資格や経験を活かせるか
- 将来任される仕事
求人票では、月給だけでなく、固定残業代の有無、手当の条件、勤務時間、休日、試用期間も確認します。面接では、1日の仕事の流れ、繁忙期、配属先の人数、教育方法など、求人票だけでは分からない点を質問しましょう。
条件を決めたら、その条件で実際に募集があるかを確かめてください。無いなら、条件のほうを見直す必要があります。
どこで確かめるかは、次にどの仕事をしたいかで変わります。このあとの「物流業界に残るか、異業種へ移るか」で、3つに分けて紹介します。
次の仕事を決めずに辞めてもいい?判断の目安
「もう限界だから先に辞めたい」と「次を決めてから辞めるべき」は、どちらが正しいというものではありません。いまの状態によって変わります。
| 先に辞めることも考えてよい | 次を決めてから辞めたほうがよい |
|---|---|
| 眠れない、食事が取れないなど、心身に不調が出ている | 生活費の蓄えが少ない |
| 仕事中の安全を保てないほど疲れている | 家族の生活費も自分の収入で支えている |
| パワハラなどで、職場にいること自体がつらい | 辞めたい理由がまだ整理できていない |
| 次にどんな仕事をしたいか決まっていない |
左の列に当てはまるなら、転職の段取りより体を守ることが先です。「2. 心身の状態に緊急性がないか確認する」で紹介した相談窓口も使ってください。
右の列に当てはまるなら、在職中に求人を見て、応募書類を作るところまで進めてから退職日を決めると、条件を比べる余裕を残せます。
私は「先に辞めた」ことも「決めてから辞めた」こともあります
2018年ごろ、物流の会社を辞めたときは、次を決める前に辞めました。辞めたあと、就職活動をしながら合宿で大型免許を取りました。そのあと、運送会社への転職が決まりました。
建設業へ移ったときは、次の仕事を決めてから辞めました。当時、生活費の蓄えは1か月分くらいしかありませんでした。
辞め方はどちらもありえます。大事なのは、自分がいまどちらの列に近いかを先に確かめることです。
30代の転職で、給料は上がる?下がる?
厚生労働省の「令和7年雇用動向調査」では、2025年に転職した人の賃金が、前の職場と比べてどう変わったかが年齢別に出ています。
| 年齢 | 増えた | 変わらない | 減った | うち1割以上減った |
|---|---|---|---|---|
| 30〜34歳 | 48.6% | 20.8% | 29.0% | 19.0% |
| 35〜39歳 | 43.5% | 28.1% | 23.9% | 16.1% |
30代では、転職して賃金が増えた人が4割台から5割近くいる一方で、減った人も2割台から3割近くいます。すべての業種をまとめた数字で、物流から転職した人だけの数字ではありません。
「転職すれば上がる」とも「30代の転職は下がる」とも言い切れないということです。だからこそ、辞める前にほかの会社の求人の条件を見ておく意味があります。
辞めたあとに必要な手続き
次の会社に入るまで間が空く場合は、次の手続きが必要になります。すぐに次の会社へ入る場合は、健康保険と年金は次の会社で加入します。
| 手続き | 期限 | 窓口 |
|---|---|---|
| 国民年金への切り替え | 退職日の翌日から14日以内 | 住んでいる市区町村 |
| 健康保険:国民健康保険に入る | 14日以内 | 住んでいる市区町村 |
| 健康保険:今の健康保険を続ける(任意継続・協会けんぽの場合) | 退職日の翌日から20日以内 | 協会けんぽ |
| 健康保険:家族の扶養に入る | ― | 家族の勤務先 |
| 失業給付(基本手当) | 受け取れる期間は原則、退職日の翌日から1年間 | ハローワーク |
期限は日本年金機構、厚生労働省、協会けんぽの案内で確認しました。
健康保険は、国民健康保険・任意継続・家族の扶養のどれか1つを選びます。任意継続は、退職日までに健康保険に続けて2か月以上加入していることが条件です。保険料を比べてから選んでください。
失業給付(失業保険)で気をつけたいこと
- 受け取るには、原則として退職日より前の2年間に、雇用保険に入っていた期間が通算12か月以上必要です(倒産・解雇で辞めた場合や、正当な理由がある自己都合退職などは、1年間に6か月以上でも可)
- 自己都合で辞めた場合、ハローワークで受給資格が決まった日から7日間の待期期間のあと、さらに給付を受け取れない期間(給付制限)があります。2025年4月1日以降に辞めた人は原則1か月です
- ただし、退職日からさかのぼって5年のうちに、自己都合の退職で2回以上受給資格の決定を受けている場合は3か月です
- 一方で、2025年4月1日以降に始めた教育訓練(教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練など)を、退職前の1年以内に受けた場合や、退職後に受けている場合は、ハローワークに申し出ると給付制限がなくなります(途中でやめた場合は対象外)
- 体調を崩すなど、正当な理由がある自己都合退職は扱いが変わることがあります。自分の場合はハローワークで確認してください
受け取りの条件はハローワークインターネットサービス、給付制限は群馬労働局・ハローワークの案内、教育訓練で給付制限がなくなる条件は厚生労働省の案内で確認しました。
物流業界に残るか、異業種へ移るか
物流の仕事を辞めたいからといって、物流経験をすべて捨てる必要はありません。
次の行き先は、大きく3つに分かれます。どれに近いかで、次に読む記事と相談先が変わります。
| 次にやりたいこと | 先に確かめたいこと | 相談先 |
|---|---|---|
| 倉庫の仕事は続けたい(職場や働き方を変えたい) | 辞めたい理由が「仕事」か「職場」か | ハローワーク/工場も候補ならUTエージェント |
| ドライバーになりたい・続けたい | 未経験でも採ってくれる会社か | トラックマンジョブ |
| 建設業へ移りたい | 入ってから最初の1年に何が起きるか | 資格がないならビーバーズ/資格や現場経験があるなら建築転職 |
倉庫の仕事を続けたい人
辞めたい理由が「倉庫の仕事」ではなく「いまの職場」なら、業界を変えなくても条件は変えられます。
- 日勤中心の倉庫
- 在庫管理や倉庫管理
- 配車や運行管理の補助
- 物流事務
- 法人営業や見積
- 現場リーダーや教育担当
夜勤だけがつらいなら日勤中心の倉庫、体力がきついなら在庫管理や物流事務、というように、変えたい条件から探してください。地元の倉庫の求人は、ハローワークにだけ出ていることもあります。
業界に残る場合でも、雇用の形を変えられるかどうかで、その後の見通しは変わります。
倉庫にこだわらなければ、工場も候補になります。工場にも、材料や製品をフォークリフトで運ぶ仕事があるからです。
工場の仕事を扱うUTエージェントの公式サイトでは、採用するとUTエージェントの正社員として雇い、派遣先の工場で働く「無期雇用派遣」の形が案内されています。働く工場の会社の社員になるとは限らないので、雇われ方は求人ごとに確かめてから応募してください。
ドライバーになりたい人
30代は、トラック運転手の中では若い年代です。厚生労働省のjob tagによると、トラック運転手の平均年齢は51.5歳です。
大型免許を取ったばかりの人を採る会社があるのか、入ってから一人で乗るまでに何があるのかは、「大型未経験でも雇ってもらえる?」に書いています。
求人は、地域・車種・「未経験OK」で絞り込めるサイトで探すと比べやすくなります。
建設業へ移りたい人
私は32歳・未経験で建設業へ移りました。年収がいったん下がったこと、最初は現場で相手にされなかったことまで、「物流から建設業に転職してわかったこと」に書いています。
資格がない人向けには、未経験からの相談も受けている建設業専門のエージェントがあります。施工管理などの資格や現場経験がある人は、建築転職のような経験者向けの相談先のほうが合います。違いは、この記事の最後で紹介している転職エージェントの選び方にまとめています。
建設以外の異業種も考えたい人
- 製造現場の進捗・在庫管理
- 設備・メンテナンス関連
- ルート営業
- 安全や段取りを重視する現場職
大切なのは、業界名だけで選ぶのではなく、「これまでの経験をどの仕事で使えるか」「今の悩みを次の職場で減らせるか」を比べることです。
異業種転職の進め方は、関連記事「物流から異業種に転職できる?10年経験者が強みの伝え方と進め方を解説」でも詳しく紹介しています。
退職前に今日できること
まずはメモを1枚用意して、次の3行を書いてみてください。
- 今の仕事で一番変えたいこと
- 次の仕事でも残したいこと
- 物流の仕事で身につけたことを3つ
この3つが書けると、求人を探す基準と、応募書類で伝える内容が見えやすくなります。
辞める前に、同じ仕事の求人を見ておく
辞めるかどうかを決める前に、やっておいたほうがいいことが1つあります。いま自分と同じ仕事が、ほかの会社ではいくらで募集されているかを見ることです。
これを知らないまま辞めると、前より条件が悪い会社に移ってしまうことがあります。私の周りでも、これは実際に起きています。
求人を探す場所は、上の「物流業界に残るか、異業種へ移るか」で、行き先ごとに紹介しました。応募しなくても大丈夫です。見ておくだけで、いまの会社の条件が良いのか悪いのかが分かります。
次の勤め先を自分だけで探すのがきついときは、現場経験者向けの相談先を先に見ておくと動きが軽くなります。
よくある質問
30代後半からでも、転職はできますか?
年齢だけで決まるものではありません。先ほどの厚生労働省の調査では、35〜39歳で転職した人のうち43.5%は、前の職場より賃金が増えています。ただし、減った人も23.9%います。
差がつきやすいのは、これまでの経験をどう伝えるかです。「4. 物流の経験を『作業名』だけで終わらせない」の表を使って、先に書き出しておくと応募書類で困りにくくなります。
求人の中には、「35歳未満」のように年齢の上限が書かれたものもあります。求人は年齢を問わないのが原則ですが、若い人を正社員として一から育てる募集では、上限を付けることが例外として認められているからです。上限を付ける会社は、その理由を示すことも決められています(厚生労働省)。
30代後半の人は、年齢の上限が書かれていない求人を中心に探すと、応募できる先を見落としにくくなります。
体調を崩して辞めた場合も、すぐに失業給付を受け取れますか?
病気やけがですぐに働けない状態のときは、失業給付は受け取れません。失業給付は「働く意思と能力があるのに仕事が見つからない」ときのものだからです。
ただし、病気やけがなどで30日以上続けて働けない場合は、受け取れる期間を延ばす申請ができます(延ばせるのは最長3年まで)。体を治してから受け取る道が残るので、早めにハローワークへ相談してください(ハローワークインターネットサービス「基本手当について」)。
まとめ|30代は焦らず、5つを整理してから決める
30代は、これまでの経験があり、これからの働き方も考え直せる時期です。焦って答えを出す必要はありません。先に辞めるか、次を決めてから辞めるかも、いまの体と生活費の状態で決めてかまいません。健康と生活を守りながら、次の選択肢を一つずつ確認していきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
同じ現場で働いてきた人間として、役に立ちそうなことをこれからも書いていきます。
