運送会社の求人、どう選ぶ?給与・勤務時間・休日の欄の読み方を、架空の求人3例で比べる
「固定残業代」とか「日給月給」とか、何を見ればいいんだろう…。
こんなお悩みに答えていきます。
本記事の内容
- 給与の欄:基本給・手当・固定残業代・歩合の見分け方
- 勤務時間の欄:拘束時間の上限
- 休日の欄:「週休2日制」と「完全週休2日制」の違い
- 架空の求人3例を、同じ表で比べる
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、物流業で10年働き、32歳で建設業へ移りました。物流では、家具の配送、倉庫、運送会社での大型トラックの運転をしてきました。
2018年に運送会社へ移るときは、求人サイトで運送会社の求人を探しました。
先に結論を書きます。
求人票は「給与の内訳」「勤務時間」「休日」「仕事の中身」の4つの欄を、同じ物差しで並べて比べます。 月給の金額だけで比べると、残業代が含まれているのか、休むと引かれるのかといった違いを見落とします。
それでは、見ていきましょう。
給与の欄は、金額より「内訳」を見る
運送会社の求人の給与は、同じ「月給◯万円」でも、中身が会社ごとに違います。見るのは、下記の4つです。
- 基本給:毎月決まって払われる、給料の土台
- 手当:無事故手当・皆勤手当・深夜手当など
- 固定残業代:決まった時間分の残業代を、先に給料に入れておく払い方
- 歩合:走った距離や運んだ量などで増える分
私が入った運送会社は日給月給制で、手当は無事故手当・深夜手当・皆勤手当が付いていました。
この会社で、毎月の給料が稼働日や手当によってどう変わったかは、大型トラックの給料の記事に書いています。
日給月給は、休んだ日の扱いを確かめる
日給月給は、法律で決まった言葉ではなく、会社によって中身の決め方が違います。
厚生労働省のモデル就業規則(会社が就業規則を作るときのひな形)には、欠勤や遅刻をしたとき、基本給からその日数や時間の分の賃金を差し引くという例が載っています。
日給月給の求人なら、休んだ日に、どこまで給料から引かれるのか(基本給だけか、手当も引かれるか)を、面接で確かめておくと安心です。
手当は「どんなときに付くか」を見る
無事故手当や皆勤手当は、会社が条件を決めて払う手当です。事故があった月や、休んだ月には付かないこともあります。求人票に手当の名前があったら、どんなときに付かなくなるかまで聞いておくと、毎月の給料が読みやすくなります。
深夜手当は、会社が決める手当とは違います。午後10時から午前5時までに働いた時間には、通常の賃金の25%以上の割増賃金(ふだんより上乗せして払う賃金)を払うことが、労働基準法で決まっています。夜の運行がある求人なら、深夜の割増がどう計算されているかも見ておきます。
固定残業代は、3つ書いてあるかを見る
固定残業代がある求人では、求人票に下記の3つをすべて書くよう、厚生労働省が案内しています。
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業代が何時間分で、いくらか
- その時間を超えた残業には、別に割増賃金を払うこと
この3つがそろっていない求人は、月給のうちいくらが残業代なのかが分かりません。応募の前に、会社へ確かめてください。
歩合は、保障の部分があるかを見る
歩合の求人では、走った距離や運んだ量で給料が増えます。労働基準法では、出来高払い(歩合)で働く人には、働いた時間に応じて一定額の賃金を保障することが決まっています。歩合の割合だけでなく、歩合ではない部分がいくらあるかも見ておくと、仕事が少ない月の給料を考えやすくなります。
勤務時間の欄は「拘束時間」で考える
求人票の勤務時間に「8:00〜17:00」と書いてあっても、トラックの仕事は、荷待ち(積む場所で順番を待つ時間)や道の混み具合で、帰る時間が延びることがあります。
トラックの運転手には、拘束時間(仕事を始めてから終わるまでの、休憩も含めた時間)の上限が、国の基準(改善基準告示)で決まっています。2024年4月からは、下記のとおりです。
| 項目 | 上限など |
|---|---|
| 1日の拘束時間 | 13時間以内(延ばす場合も最大15時間) |
| 1か月の拘束時間 | 原則284時間以内 |
| 1年の拘束時間 | 原則3,300時間以内 |
| 1日の休息期間(仕事が終わってから次の仕事までの時間) | 継続11時間以上が基本。9時間を下回らない |
求人票の勤務時間は、ふだん何時に終わることが多いかを面接で聞いて、拘束時間で考えると比べやすくなります。働く時間を先に確かめる話は、こちらにもまとめています。
休日の欄は「完全」が付くかを見る
休日の欄で間違えやすいのが、「週休2日制」と「完全週休2日制」です。
厚生労働省の調査では、月に3回・隔週・月2回・月1回だけ週に2日休める形を、「完全週休2日制より休日の日数が実質的に少ない制度」として分けています。「週休2日制」と書いてあっても、毎週2日休めるとは限らないということです。
年間休日(1年間の休みの合計)も比べます。
| 区分 | 1企業平均の年間休日 |
|---|---|
| 運輸業・郵便業 | 104.2日 |
| 全産業 | 112.4日 |
※厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」の数字で、令和6年1年間の休日です。運輸業・郵便業には、トラックの運送会社以外も含まれます。
求人票に年間休日が書いていないときは、面接で日数を聞いて、ほかの求人と同じ物差しで並べてください。
仕事内容の欄は、荷物・車・エリア・積み込みを見る
仕事内容の欄では、下記を見ておくと、入ってからの1日が想像しやすくなります。
- 何を運ぶか(食品・日用品・建材など)
- 車の大きさ(2t・4t・10tなど)と、自分の免許で運転できるか
- 走るエリア(近くを回るのか、長距離か)
- 積み込みと荷下ろしを、誰がするか
積み込みは、求人票だけでは分からないことが多いところです。手積みかどうかの確かめ方は、こちらにまとめています。
架空の求人3例を、同じ表で比べる
ここまでの見方で、求人3つを同じ表に並べてみます。A社・B社・C社は私が作った架空の求人です。 金額や日数も架空で、相場を示すものではありません。
| 比べる欄 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 給与 | 月給28万円(基本給20万円+固定残業代6万円(30時間分)+無事故手当2万円)。30時間を超える残業代は別に支給 | 日給月給制(月額25万円)+皆勤手当 | 月給24万円+歩合 |
| 勤務時間 | 8:00〜17:00(休憩60分) | 22:00〜翌7:00(休憩60分) | 6:00〜15:00(休憩60分) |
| 休日 | 完全週休2日制(土日)・年間休日112日 | シフト制・年間休日の記載なし | 週休2日制・年間休日100日 |
| 仕事内容 | 4t・関東エリアの配送・パレットとフォークリフト | 10t・長距離・積み込みは「手積みあり」 | 2t・決まった店舗へのルート配送 |
この3つを見比べると、確かめることが分かれます。
- A社:固定残業代の3つがそろっている。ふだん30時間を超えて残業するかを聞く
- B社:夜の勤務なので、深夜の割増が日額に入っているのか、別に払われるのかを聞く。休んだ日の引かれ方と、年間休日の日数も聞く
- C社:歩合ではない部分がいくらかを聞く。「週休2日制」なので、毎週2日休めるかを聞く
金額だけを見るとA社が高く見えますが、表にすると、それぞれ面接で聞くことが違うのが分かります。
運送会社の求人は、ドライバー専門の求人サイトでも比べられます。
求人票で分からないことは、面接で聞く
求人票には、書ききれないこともあります。私も運送会社の面接では、研修のことを聞きました。
大型に初めて乗る人なら、研修の流れや、ひとりで乗るまでの期間も、面接で聞いておきたいところです。研修の中身と、ひとりで乗るまでの流れは、こちらに書いています。
給料の締め日と支払日も、求人票に書いていなければ面接で確かめておくと安心です。入社してから最初の給料がいつ入るかで、転職の前後に用意しておくお金が変わるからです。くわしくは、転職のお金の準備の記事にまとめています。
面接で聞かれることと、答える前に決めておくこと、当日の服装は、こちらにまとめています。
よくある質問
Q. 運送会社の求人は、どこで探せばいいですか?
A. 私は2018年に運送会社を探したとき、リクナビ・マイナビ・doda・@typeといった求人サイトで求人を見ていました。ドライバーの求人だけを扱う求人サイトもあるので、いくつか見比べると、同じ地域の求人を並べやすくなります。
Q. 求人票と、面接で聞いた条件が違ったらどうすればいいですか?
A. 職業安定法では、求人を出す会社は、仕事の内容や賃金・労働時間などの労働条件を示すことになっています。違いがあったら、そのままにせず、どれが正しい条件なのかを会社に確かめてください。
Q. 応募する会社が決まったら、志望動機はどう書けばいいですか?
A. 求人票で読んだ欄の中から、自分に合うと思ったところを1つ選ぶと、「この会社を選んだ理由」が書きやすくなります。書き方と例文は、トラック運転手の志望動機の記事にまとめています。
まとめ:4つの欄を、同じ物差しで並べる
要点は、下記のとおりです。
- 給与は内訳を見る。日給月給は休んだ日の扱い、手当は付く条件、固定残業代は3つの記載、歩合は保障の部分を確かめる
- 勤務時間は拘束時間で考える。1日13時間以内(最大15時間)・1か月原則284時間以内が国の基準
- 休日は「完全週休2日制」かどうかと、年間休日の日数を見る。運輸業・郵便業の平均は104.2日
- 仕事内容は、荷物・車の大きさ・エリア・積み込みを見る
- 求人票で分からないことは、面接で聞く
気になる求人は、条件を並べて比べてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
同じ現場で働いてきた人間として、役に立ちそうなことをこれからも書いていきます。
この記事の出典
- 厚生労働省「固定残業代制を採用する場合は、募集要項や求人票などに、次の①~③の内容すべてを明示してください。」(2026年10月6日確認)
- 厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」(2026年10月6日確認)
- 厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査の概況」結果の概要(週休制の形態・注/2026年10月6日確認)
- e-Stat 就労条件総合調査 令和7年 第6表「産業・企業規模、年間休日総数階級別企業割合及び1企業平均年間休日総数」(2026年10月6日確認)
- 厚生労働省 モデル就業規則(令和7年12月版)(第45条 欠勤等の扱い/2026年10月6日確認)
- 労働基準法(e-Gov法令検索)(第27条・第37条第4項/2026年10月6日確認)
- 職業安定法(e-Gov法令検索)(第5条の3/2026年10月6日確認)

