40代・未経験から電気工事士は遅い?採用に関わる私が、30代後半〜40代で入った人を見て思うこと
未経験で入っても、若い人についていけるのかな。
こんなお悩みに答えていきます。
本記事の内容
- 第二種電気工事士を受ける人の、およそ3人に1人は40代以上
- 求人の「◯歳まで」には、法律の決まりがある
- 30代後半〜40代で入った人を見て、若い人と差がついたところ
- 採用に関わる私が、40代の未経験の人で見ていること
- 40代で入る人へ:最初は比べられても、めげずに頑張ってほしい
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、物流業で10年働き、32歳で建設業へ移りました。いまは電気工事が中心の会社で、現場の管理と営業をしています。採用の面接や、入ってもらうかの判断にも関わっています。
これまでに、30代後半〜40代で、電気工事の経験なしに入ってきた人を3名ほど見てきました。
先に結論を書きます。
40代からでも、電気工事の会社には入れます。 私が見てきた3名も、資格を持たずに入っています。
ただ、最初は若い人と比べられます。差がついたのは、体力ではなく「覚えること」でした。
それでは、見ていきましょう。
第二種電気工事士を受ける人の、およそ3人に1人は40代以上
「40代で電気の勉強を始める人なんているのかな」と思う人もいるかもしれません。
数字で見ると、40代以上で第二種電気工事士を受ける人は珍しくありません。
試験をしている電気技術者試験センターは、毎年、受験を申し込んだ人の年代をまとめて公表しています。令和7年度の第二種電気工事士では、学科試験から申し込んだ人が約15万6千人いました。その年代の内わけをグラフで見ると、40代以上がおよそ3人に1人です。
※元の資料はグラフで、年代ごとの数字は書かれていません。上の「およそ3人に1人」は、グラフから読み取ったものです。
※申し込んだ人には、学生や、電気工事とは別の仕事をしている人も入っています。「40代で電気工事の会社に入る人が3人に1人」という意味ではありません。
第二種電気工事士は、年齢や学歴、経験などの受験の条件がなく、誰でも受けられます。 試験は1年に2回です。日程や受験料、私が独学で受けたときの話は、電気工事の会社に未経験で入ったときの記事にまとめています。
求人の「◯歳まで」には、法律の決まりがある
40代で求人を探すと、「35歳未満」「45歳未満」と書かれた求人を見かけることがあります。
これには、法律の決まりがあります。知っておくと、求人の見方が変わります。
求人は、原則「年齢不問」
会社が人を募集するときは、原則として年齢を問わないことになっています(労働施策総合推進法)。
厚生労働省の案内では、求人票を「年齢不問」にしておきながら、書類選考や面接で年齢を理由に採るかどうかを決めることも、法律に反するとされています。
例外は「若い人を、正社員で一から育てる」募集
ただし、いくつか例外があります。未経験の求人でよく使われるのは、長く勤めてもらって、会社の中で一から育てるために、若い人を募集する場合です。
この例外を使えるのは、次の条件を満たす募集です。
- 期間の決まりのない契約(いわゆる正社員)で募集する
- 前の仕事の経験を問わない
- 新卒以外の人も、新卒と同じように育てる
厚生労働省の案内では、ここでいう「若い人」は基本的に35歳未満を考えたものです。ただし、それに限られるわけではなく、定年がある会社ではおおむね45歳未満が目安とされています。
また、求人に年齢の上限を書くときは、その理由を示すことが義務になっています。
40代の人は、ここを見る
ここまでをまとめると、求人を見るときのポイントは下記のとおりです。
- 「35歳未満」「45歳未満」と書いてある求人は、上の例外を使っている場合がある。年齢の上限と、その理由を見る
- 40代前半なら、「45歳未満」の求人は対象に入る
- 年齢が書いていない求人は、年齢で応募を断られないのが原則
求人の年齢の書き方は、実際の募集で見ると分かりやすくなります。
電気・設備の仕事を専門にした求人サイトのELECAREER(エレキャリア)では、未経験向けの求人を地域で絞り込めます。2026年10月19日に見たときは、全体の約9,400件のうち、未経験向けは124件でした。住んでいる地域によっては、出てくる数が少ないこともあります。
そのうち先頭の3件を開くと、年齢の上限は書かれていませんでした。普通自動車免許が必要な求人もあったので、免許や資格の欄も見てください。
30代後半〜40代で入った人を見て、若い人と差がついたところ
ここからは、私が実際に見てきた話です。
私の周りで、30代後半〜40代で、電気工事の経験なしに入ってきた人は3名ほどいます。3名とも、職人さんについて作業を覚える側(見習い)で入りました。入る前に第二種電気工事士を持っていた人はいません。
差がついたのは、体力ではなく「覚えること」
若い人と比べて苦労していたのは、体力ではなく覚えることでした。
具体的には、下記の3つです。
- 材料や部品の名前(似たものが多い)
- 図面の記号
- 作業の順番と段取り
電気の図面では、コンセントや照明などを、決まった記号で描きます。材料も、名前や形の似たものがたくさんあります。
未経験の人にとって覚えることが多いのは、年齢に関係ありません。ただ、30代後半〜40代で入った人は、ここで若い人と差がつきやすいと感じました。
差がついた理由は、前の仕事のやり方と「メモ」
なぜ差がついたのか。私が見ていて感じた理由は、2つです。
- 前の仕事のやり方や考え方が、なかなか抜けなかった
- メモを取らない、分からないことを聞き返さない
長く働いてきた人ほど、前の仕事で身につけたやり方があります。それ自体は悪いことではありません。ただ、電気工事の現場では、新しいやり方に切り替える必要があります。
もう1つは、メモと聞き返しです。私が見てきた3名は、覚えるための工夫を特にしていたようには見えませんでした。
逆に言えば、メモを取ることと、分からないことを聞き返すことは、入る前から決めておけることです。年齢で変えられないことではありません。
聞くことの大切さは、施工管理の記事にも書いています。
年齢そのものが問題だったわけではない
正直に書くと、3名を見ていて「年上の人のほうが有利だった」と感じた場面は、思い当たりません。
一方で、私自身は32歳で入りましたが、「もっと若ければ楽だった」と思ったことはありません。
私の感覚では、差を生んでいたのは年齢そのものより、前の仕事のやり方を切り替えられるか、メモと聞き返しをするかでした。
採用に関わる私が、40代の未経験の人で見ていること
私は、採用の面接や、入ってもらうかの判断にも関わっています。40代で電気工事の経験がない人について、私が見ているのは下記の3つです。
- 資格を取る気があるか(いちばん大事)
- 前の仕事で何をしてきたか
- 長く続けてくれそうか
いちばん大事なのは「資格を取る気があるか」
いちばん大事にしているのは、資格を取る気があるかです。
電気工事には、資格がないとできない作業が法律で決まっています。 資格がないままだと、任せられる作業が手伝いから広がりません。
先に書いたとおり、私が見てきた3名も、入る前は資格を持っていませんでした。入る時点で持っていなくても大丈夫です。 見ているのは、入ってから取る気があるかどうかです。
面接で「入ったら第二種を取るつもりです」と言えるように、試験の時期や内容を一度調べておくと安心です。
履歴書の志望動機に、資格を取る予定をどう書くかは、電気工事の志望動機の記事にまとめています。
前の仕事・続けられるか
前の仕事で何をしてきたかは、会社として面接で聞いています。どんな仕事を、どう進めてきたかを話せるようにしておいてください。面接でほかに何を聞かれるかは、電気工事の面接で聞かれることの記事に書いています。物流の経験を、ほかの仕事に向けてどう話すかは、こちらにまとめています。
長く続けてくれそうかも見ています。
40代で入る人へ:最初は比べられても、めげずに頑張ってほしい
40代で、未経験から電気工事に入ろうとしている人へ。採用に関わる私から、ひとこと伝えさせてください。
でも、めげずに頑張ってほしいです。
比べられるのは、覚えることの多い最初のうちです。ここまで書いてきたとおり、差がつくところは年齢そのものではありません。
入る前にできることを、まとめておきます。
- 第二種電気工事士の勉強を始めてみる(受験の条件はなく、誰でも受けられる)
- 現場ではメモを取る、分からないことは聞き返すと決めておく
- 求人の年齢の上限と、その理由を見る
入ってから「想像と違った」とならないように、入る前に会社に確かめておきたいことは、電気工事のきつさをまとめた記事に書いています。
よくある質問
Q. 第二種電気工事士を取ってから応募したほうがいいですか?
A. 持っていなくても入れます。私が見てきた3名も、入る前は持っていませんでした。私が面接で見ているのは、「入ってから取る気があるか」です。ただ、先に取っておけば応募できる求人は増えます。資格を取って変わったことは、こちらに書いています。
Q. 求人に「35歳未満」と書いてあったら、40代は応募できませんか?
A. 年齢の上限が書いてある求人は、その年齢を超えると対象外です。ただ、年齢の上限を書けるのは法律の例外にあたる場合だけで、その理由を示すことも義務になっています。年齢が書いていない求人は、年齢で応募を断られないのが原則です。
Q. 50代からでも入れますか?
A. 私がこの記事で書けるのは、30代後半〜40代で入った人を見た話までです。50代の方については、私の経験からは答えられません。第二種電気工事士の受験に年齢の決まりはありません。求人を探すときは、年齢の上限が書いていないものから見てください。
まとめ:40代からでも入れる。差がつくのは年齢より「覚え方」
要点は、下記のとおりです。
- 第二種電気工事士を受ける人の、およそ3人に1人は40代以上
- 求人は原則「年齢不問」。上限を書けるのは例外で、理由を示す義務がある
- 30代後半〜40代で入った人が若い人と差がついたのは、体力ではなく覚えること。理由は、前の仕事のやり方とメモ・聞き返し
- 採用で私がいちばん見ているのは、資格を取る気があるか。入る時点で持っていなくても大丈夫
最初は比べられても、差がつくところは自分で変えられます。気になったら、まずは未経験歓迎の求人を並べて、年齢の書き方や仕事の中身を見てみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
求人を眺めるだけでも、自分の年齢で応募できる会社があるかは分かります。今日決めなくて大丈夫です。
同じ現場で働いてきた人間として、役に立ちそうなことをこれからも書いていきます。
この記事の出典
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度 電気技術者試験受験者実態調査」(令和8年3月/12ページ「電工2種:R07年度年代別申込者構成」/2026年10月1日確認)
- 厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」(2026年10月1日確認)
- 厚生労働省「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」(令和7年4月1日時点/表紙・7ページ・8ページ/2026年10月1日確認)


