高所作業車の資格は何がいる?10m未満は特別教育・10m以上は技能講習。電気工事の現場で使う私が答えます
免許がいるの?講習は何日かかるんだろう。
こんなお悩みに答えていきます。
本記事の内容
- 高所作業車の資格は、高さで「特別教育」と「技能講習」に分かれる
- 10m未満の特別教育:学科6時間・実技3時間
- 10m以上の技能講習:学科11時間・実技6時間・修了試験あり
- 道路を走るなら、講習とは別に車の免許がいる
- 電気工事の現場で、高所作業車をどう使うか
- 講習は、会社がお金を出して受けさせることが多い
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、物流業で10年働き、32歳で建設業へ移りました。いまは電気工事が中心の会社で、現場の管理と営業をしています。
電気工事の現場では、高所作業車をよく使います。私も、建設業に入って数年たってから、10m未満の特別教育を受けました。
先に結論を書きます。
高所作業車の資格は、作業床をいちばん高く上げたときの高さで決まります。10m未満なら特別教育、10m以上なら技能講習です。 道路を走らせるなら、講習とは別に車の運転免許もいります。
それでは、見ていきましょう。
高所作業車の資格は、高さで「特別教育」と「技能講習」に分かれる
高所作業車は、人が乗る作業床(バケットや台)を上げ下げして、高い場所で作業するための機械です。法律では、作業床をいちばん高く上げたときの高さが2m以上のものを、高所作業車としています。
運転に必要な資格も、この「作業床をいちばん高く上げたときの高さ」で分かれます。その日に作業する高さではありません。
| 作業床をいちばん高く上げたときの高さ | 必要なもの | 時間 | 試験 |
|---|---|---|---|
| 10m未満 | 特別教育 | 学科6時間・実技3時間 | 告示に決まりなし |
| 10m以上 | 技能講習 | 学科11時間・実技6時間 | 修了試験あり |
※どちらも、講習の中身と時間は厚生労働省の告示で決まっています。
特別教育は、危ない仕事をさせるときに、会社が働く人に受けさせる教育です。技能講習は、都道府県労働局に登録された講習機関で受ける講習で、修了試験に受かると修了証がもらえます。10m以上まで上がる高所作業車は、10m未満の高さで使う日でも、技能講習を修了した人でないと運転できません。
道路を走るなら、車の運転免許がいる
特別教育も技能講習も、法律では「道路上を走行させる運転を除く」とされています。つまり、講習で許されるのは、現場の中での運転と、作業床の上げ下げです。
トラックの荷台に高所作業車が付いた型で道路を走るなら、車の大きさに合った運転免許が必要です。たとえば、車両総重量3.5t以上7.5t未満などの車は「準中型自動車」にあたり、準中型免許がいります。
10m未満の特別教育:学科6時間・実技3時間
10m未満の高所作業車を運転するには、特別教育を受けます。時間と中身は、下記のとおりです。
- 学科:高所作業車の作業装置の構造と扱い方(3時間)
- 学科:原動機(エンジンなど)の知識(1時間)
- 学科:運転に必要な一般的なこと(1時間)=力学、感電による危険性
- 学科:関係する法令(1時間)
- 実技:作業床を上げ下げするなどの基本操作(3時間)
学科には、「感電による危険性」も入っています。
私が受けたときは、講習機関で2日間
私が特別教育を受けたのは、建設業に入って数年たってからです。講習をしている機関に行き、2日間で受けました。
印象に残っているのは、実技(作業床を上げ下げする操作)が、思っていたより難しかったことです。
受けた特別教育を履歴書の資格欄にどう書くかは、履歴書の資格欄の書き方の記事にまとめています。
10m以上の技能講習:学科11時間・実技6時間・修了試験あり
作業床の高さが10m以上の高所作業車を運転するには、技能講習を修了する必要があります。
- 学科:作業装置の構造と扱い方(5時間)
- 学科:原動機の知識(3時間)
- 学科:運転に必要な一般的なこと(2時間)=力学、感電による危険性
- 学科:関係する法令(1時間)
- 実技:作業床を上げ下げするなどの操作(6時間)
- 最後に、学科と実技の修了試験がある
車の免許を持っていれば、学科が短くなる
技能講習には、持っている免許や資格によって、一部の科目が免除になる決まりがあります。
- 普通・準中型・中型・大型・大型特殊などの自動車免許を持っている人:「原動機の知識」(3時間)が免除→学科8時間
- フォークリフトや車両系建設機械の技能講習を修了した人:「原動機の知識」が免除
- 移動式クレーン運転士免許か、小型移動式クレーンの技能講習を修了した人:「原動機の知識」と「運転に必要な一般的なこと」が免除
車の免許を持っている人なら、学科8時間・実技6時間になります。
同じ技能講習の受け方は、フォークリフトの記事にもまとめています。
技能講習を修了した人が特別教育を省けるかは、会社が判断する
法律では、特別教育の中身について十分な知識と技能があると認められる人は、その科目を省略できるとされています。10m以上の技能講習を修了した人が、あらためて10m未満の特別教育を受けなくてよいかは、会社がこの決まりにそって判断します。
私の現場では、10m以上はほとんど使わない
私の現場で、作業床が10m以上まで上がる高所作業車を使う場面はほとんどありません。 10m未満で足りることが多いです。
費用の例:特別教育は1万5千円前後、技能講習は3万〜4万円台
講習の費用は、講習機関や地域によって違います。東京の講習機関2か所の公式ページで見ると、下記のとおりでした(どちらも税込・教本代込み)。
| 講習 | 労働技能講習協会 | 東京クレーン学校 |
|---|---|---|
| 特別教育(10m未満) | 14,800円 | 16,000円 |
| 技能講習(10m以上) | 33,930円〜38,930円 | 36,000円〜42,000円 |
※技能講習は、持っている免許による免除で金額が変わります。
※2026年10月2日に各機関の公式ページで確認した金額です。申し込む前に、最新の金額を確かめてください。
電気工事の現場で、高所作業車をどう使うか
ここからは、私の現場での話です。電気工事では、高所作業車を下記のような作業に使います。
- 天井の照明や配線
- 倉庫・工場・体育館など、天井が高い建物の工事
- 外の照明・看板・電線まわり
- 建物の外壁まわりの配線
よく使うのは、作業床がまっすぐ上下する型です。はさみのような形の脚で、作業床を持ち上げます。
電気工事の会社に未経験で入ったときに、最初にする仕事や、資格がないとできない作業は、電気工事の会社に未経験で入ったときの記事にまとめています。
現場で気をつけていること
高所作業車の作業で、私が現場で気をつけているのは、下記の4つです。
- 墜落を防ぐ器具(フルハーネスなど)を必ず付ける
- 作業床の下や周りに人を入れない
- 地面の傾きや固さ(沈まないか)を確かめる
- 上の電線や天井にぶつけない
法律では、高所作業車の作業床に乗る人に、墜落を防ぐ器具を使わせることが会社に義務づけられています。ただし、作業床がまっすぐ上下するだけの型は、この決まりの対象から外れています。
私の現場では墜落を防ぐ器具を必ず付けています。
講習は、会社がお金を出して受けさせることが多い
私の会社では、新しく入った人に、入ってすぐ、会社がお金を出して高所作業車の講習を受けさせています。
特別教育は、法律で会社(事業者)が行うものとされています。危ない仕事をさせる前に、会社が教育を受けさせる義務があるのです。会社が受けさせる特別教育のしくみは、テールゲートリフターの記事でくわしく書いています。
高所作業車のほかに、私が建設業に入ってから受けた4つの特別教育(足場・フルハーネス・低圧電気・石綿)は、建設業の特別教育の記事にまとめています。
そのうちフルハーネスの特別教育を、Webで受けるときの実技の受け方は、フルハーネスの特別教育の記事にまとめています。
入る前に、求人や面接で確かめること
電気工事など、高所作業車を使う会社に入る前は、下記を確かめておくと安心です。
- 高所作業車の講習は、会社がお金を出して受けさせてくれるか
- いつ受けるか(入ってすぐか、使う現場に入る前か)
- 10m以上の高所作業車を使う現場があるか(あれば技能講習も必要になる)
入ってからのきつさや、入る前に確かめておきたいことは、電気工事の仕事はきつい?の記事に書いています。
電気・設備の仕事の求人は、専門の転職サイトでも探せます。ELECAREER(エレキャリア)には「未経験歓迎」の求人をまとめたページがあり、地域でも絞り込めます。
よくある質問
Q. 車の運転免許があれば、高所作業車に乗れますか?
A. 運転免許だけでは、作業床を上げ下げする運転はできません。10m未満なら特別教育、10m以上なら技能講習が必要です。逆に、講習だけでは道路を走れません。道路を走るなら、車の大きさに合った運転免許が必要です。
Q. 10m未満の特別教育で、10m以上の高所作業車に乗れますか?
A. 乗れません。作業床をいちばん高く上げたときの高さが10m以上の高所作業車は、低い位置で使う日でも、技能講習を修了した人でないと運転できません。
Q. 玉掛けの資格も、講習が分かれますか?
A. 分かれます。玉掛けは、クレーンのつり上げ荷重が1トン以上なら技能講習、1トン未満なら特別教育です。講習の時間や費用は、こちらにまとめています。
Q. 自分で講習を受けることはできますか?
A. 個人で申し込めるかどうかは、講習機関によって違います。申し込む前に、講習機関に確かめてください。特別教育は会社が受けさせるものなので、私の会社では、入ってすぐ会社で受けてもらっています。
Q. 40代・未経験でも、電気工事の会社に入れますか?
A. 私の周りでも、30代後半〜40代で電気工事の経験なしに入った人がいます。年齢で差がつきやすいところは、こちらに書いています。
まとめ:高さで講習が変わる。道路を走るなら車の免許も
要点は、下記のとおりです。
- 高所作業車の資格は、作業床をいちばん高く上げたときの高さで決まる(その日に作業する高さではない)。10m未満は特別教育、10m以上は技能講習
- 特別教育は学科6時間・実技3時間。技能講習は学科11時間・実技6時間で、修了試験がある(車の免許があれば学科8時間)
- どちらも「道路を走る運転」は含まない。道路を走るなら車の免許もいる
- 費用の例は、特別教育が1万5千円前後、技能講習が3万〜4万円台(東京の2機関)
- 電気工事の現場では10m未満で足りることが多い。講習は会社がお金を出して受けさせることが多い
高所作業車を使う会社を探すなら、講習を会社で受けさせてくれるかも、あわせて見てみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
10m未満の特別教育なら、2日ほどで受けられます(私のときは2日間でした)。まずは、自分が使う高所作業車が「10m未満の機械」か「10m以上まで上がる機械」かを、会社に聞いてみてください。
同じ現場で働いてきた人間として、役に立ちそうなことをこれからも書いていきます。
この記事の出典
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(59条3項/2026年10月2日確認)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」(10条7号・20条15号/2026年10月2日確認)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(36条10号の5・37条・194条の22・別表第3/2026年10月2日確認)
- 厚生労働省「安全衛生特別教育規程」(13条/2026年10月2日確認)
- 厚生労働省「高所作業車運転技能講習規程」(2条〜4条/2026年10月2日確認)
- 警視庁「準中型自動車・準中型免許の新設について」(2026年10月2日確認)
- 一般社団法人 労働技能講習協会「高所作業車特別教育(10m未満)」・「高所作業車運転技能講習」(2026年10月2日確認)
- 東京クレーン学校「高所作業車運転特別教育(10m未満)」・「高所作業車運転技能講習(10m以上)」(2026年10月2日確認)


