倉庫作業から出荷事務へ転職できる?ハローワーク求人の月給は4千円差。仕事内容と求人で確かめる3つのこと
同じ物流でも、出荷事務なら座ってできるし、給料も上がるのかな。
でも、未経験で事務なんて入れるんだろうか。
こんなお悩みに答えていきます。
本記事の内容
- 出荷事務・物流事務の仕事は3種類
- 倉庫作業から未経験でも入れるか
- 給料は上がるのか:統計の年収と求人の月給で見え方が違う
- 事務でも、体力がいらないとは限らない
- 求人で確かめたい3つのこと
- 倉庫の経験が活きるところ
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、物流業で10年働き、倉庫では主任をしていました。32歳で建設業に移り、現在は電気工事の会社で現場管理をしています。
主任をしていたころは、出荷や受荷の事務を担当する人と一緒に仕事をしていました。
先に結論を書きます。
倉庫作業から出荷事務への転職は、学歴や資格がなくても目指せます。 厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」でも、特に学歴や資格は必要とされない仕事とされています。
ただし、求人の月給は倉庫作業員とほとんど変わりません。 「事務に移れば給料が上がる」「体力がいらなくなる」と思って動くと、入ってから困ることがあります。
それでは、見ていきましょう。
出荷事務・物流事務の仕事は3種類
まず、出荷事務・物流事務と呼ばれる仕事の中身を確かめます。
job tagでは、「出荷・受荷事務」として、大きく3つの仕事が挙げられています。
- 検収・検品事務:届いた荷物と、発注の書類に書かれた数量などを照らし合わせ、システムに登録する
- 保管・管理事務:倉庫にある商品や資材の在庫を管理する
- 出荷・発送事務:送り状・納品書・出荷指示書などの書類を作り、管理する
同じページには、ハンディターミナルやハンディスキャナーでバーコードを読み取る、という説明もあります。
倉庫で働いてきた人なら、見たことのある道具や書類が多いはずです。 伝票、バーコード、在庫の数。どれも、現場の側から見てきたものです。
違うのは、荷物を動かす側から、荷物の情報を動かす側に回ることです。
倉庫作業から未経験でも入れるか
結論から言うと、入れる可能性は十分にあります。
job tagの「就業するには?」には、こう書かれています。
入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされないが、流通管理に情報機器を活用しているケースが多く、エクセルや管理システムへのデータ入力は通常業務なのでPC操作に慣れていると有利である。
同じページには、中途採用で入る人も多いこと、入ってから研修などで仕事を覚えることも書かれています。
働いている人へのアンケートでは、入る前の訓練期間について「特に必要ない」と答えた人が67.4%でした。
私が働いていた職場にも、倉庫の現場から事務に移った人がいました。
準備しておきたいのは、パソコンの基本操作です。 エクセルへの入力や、決まった画面へのデータ入力が毎日の仕事になります。
倉庫でデータをまとめていた経験がある人は、それが書類で伝わるように書いておきましょう。書き方はこちらにまとめています。
ピッキングや検品など、作業員としての経験の書き方は、こちらにまとめています。
給料は上がるのか:統計の年収と求人の月給で見え方が違う
ここが、いちばん誤解しやすいところです。
job tagには、職業ごとに2種類の賃金の数字が載っています。倉庫作業員と出荷・受荷事務で並べると、下記のとおりです。
| 比べる項目 | 倉庫作業員 | 出荷・受荷事務 |
|---|---|---|
| ハローワーク求人の月給(令和7年度) | 22.7万円 | 23.1万円 |
| 1時間あたりの賃金・短時間労働者(令和7年) | 1,301円 | 1,340円 |
※どちらも職業分類ごとにまとめた集計で、その職業だけを取り出した数値とは限りません。求人の月給はハローワークの求人統計(令和7年度)で、民間の求人サイトの募集は含みません。1時間あたりの賃金は、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした全国の数値です。
ハローワークの求人の月給で比べると、差は4千円です。 パートなど短い時間で働く人の時給でも、差は39円でした。
一方で、「年収」の欄は、出荷・受荷事務のほうがかなり高く出ています。ただ、この年収の数字は、事務の仕事を広くまとめた区分の統計が使われています。出荷・受荷事務と生産・工程管理事務で、まったく同じ金額が載っているほどです。
年収の数字は、物流を辞めたい40代向けの記事で表にしています。見るときは、この点を頭に置いてください。
つまり、「事務に移れば給料が上がる」とは言えません。 給料は、仕事の種類よりも、会社や地域、雇用形態で決まる部分が大きいと考えたほうが安全です。
事務でも、体力がいらないとは限らない
「事務なら座ってできる」と思っている人は、ここも確かめておいてください。
job tagには、こう書かれています。
出荷・受荷係事務のみならず、荷役作業や附帯作業が伴う場合や、早朝の仕事がある場合もあるため、一定の体力も求められる。
さらに、「労働条件の特徴」には、スーパーなどでは荷受けや運搬を担当したり、倉庫作業員や包装作業員の仕事を兼ねたりすることも多い、とあります。
私が働いていた倉庫では、出荷や受荷の事務の人は、現場の作業は手伝わず、事務だけを担当していました。
ただ、これは私の職場の話です。上の説明のとおり、会社によっては荷物の積み下ろしや早朝の仕事も含まれます。
「体がきついから事務へ」が一番の理由なら、応募する前に、現場の作業がどこまで入るかを必ず確かめてください。
倉庫作業を続けるか辞めるかで迷っている段階なら、こちらの判断基準も参考にしてください。
求人で確かめたい3つのこと
ここまでをふまえて、出荷事務の求人を見るときに確かめたいことは、下記の3つです。
- 雇用形態(正社員か、パート・派遣・契約か)
- 現場の作業がどこまで入るか
- 使うソフトやシステム
1つずつ見ていきますね。
雇用形態(正社員か、パート・派遣・契約か)
job tagの「労働条件の特徴」には、「パート労働者や期間の定めのある非正規労働者の割合が高い」とあります。
一方、同じページのアンケート(働いている人が「多いと感じる」就業形態・複数回答)では、正社員と答えた人が71.7%、パートが30.4%、派遣が17.4%でした。
私が働いていた倉庫では、出荷や受荷の事務の人は正社員が多かったです。
職場によって大きく違う、ということです。 求人を見るときは、雇用形態の欄を最初に確かめてください。正社員を希望するなら、「正社員登用あり」と書いてあっても、条件や実績までは求人票だけでは分かりません。面接で確かめましょう。
現場の作業がどこまで入るか
先ほどのとおり、事務と現場の作業を兼ねる職場もあります。
求人票の仕事内容に「入出荷作業」「ピッキング」「フォークリフト」などの言葉が入っていないかを見てください。書かれていなければ、面接で「現場の作業はどのくらいありますか」と聞いて構いません。
使うソフトやシステム
エクセル、会社独自の在庫管理システム、ハンディターミナルなど、使う道具は職場で違います。
「エクセルでどんな作業をしますか」と聞いておくと、入力だけなのか、表やグラフも作るのかが分かります。入ってから覚えればいい範囲か、先に練習しておくべきかを判断できます。
この3つは、実際の求人を何件か見比べると、職場ごとの違いがつかみやすくなります。転職サイトのリクナビNEXTなら、住んでいる地域と「出荷事務」「物流事務」などの言葉で求人を探せます。
倉庫の経験が活きるところ
では、倉庫で働いてきた経験は、事務の仕事で役に立つのでしょうか。
主任として事務の人と仕事をしていて、私は現場を知っている人のほうが、気づきが違うし、連携がしやすいと感じていました。
job tagにも、出荷・受荷事務の仕事では、他の職種の人に仕事を頼むことが多く、コミュニケーションの力や、その場に合わせて対応する力が要ると書かれています。
事務の仕事は、現場の人に「これを出して」「これを確かめて」と頼む場面が多い仕事です。頼まれる側にいた経験は、頼む側に回ったときの強みになります。
応募するときは、この点を「現場の流れを知っているので、現場との連携がしやすい」という形で伝えられます。
転職理由や志望動機の組み立て方は、こちらにまとめています。
一人で求人を比べるのが不安なら
出荷事務の求人は、雇用形態も仕事の範囲も職場ごとに違います。求人票だけでは分からないことも多い仕事です。
一人で比べるのが不安なら、求人の中身を一緒に確かめてくれる相談先を使うのも1つの手です。どこに相談するかの選び方は、こちらにまとめています。
よくある質問
Q. パソコンがほとんど使えなくても大丈夫ですか?
A. エクセルや管理システムへの入力は毎日の仕事で、パソコン操作に慣れていると有利とされています。応募する前に、文字の入力と、エクセルで数字を打ち込む程度はできるようにしておくと安心です。どこまでできればいいかは、求人ごとに面接で確かめてください。
Q. 同じ会社の中で、倉庫から事務に移ることはできますか?
A. 会社によります。今の職場に事務の担当がいるなら、異動の希望を出せるかを上司に相談してみる方法もあります。事務の仕事の中身を近くで見られる分、「思っていたのと違う」を防ぎやすい面があります。
Q. 出荷事務に役立つ資格はありますか?
A. 入るときに特に資格は必要とされていません。管理する立場を目指すときの資格として、扱う物によって違いますが、倉庫管理主任者、物流経営士、防火管理者、食品衛生管理者が挙げられています。まずは求人の条件に書かれているかを確かめてください。
物流・倉庫で役立つ資格(job tagに載る7つ)は、こちらで比べています。
倉庫管理主任者のなり方と、講習の受け方は、こちらにまとめています。
まとめ:出荷事務は目指せる。ただし給料と体力は求人ごとに確かめる
今回は、倉庫作業から出荷事務・物流事務への転職をまとめました。
要点は、下記のとおりです。
- 出荷事務の仕事は検収・検品/保管・管理/出荷・発送の3種類
- 学歴や資格は特に必要とされず、中途採用も多い。パソコン操作に慣れていると有利
- ハローワーク求人の月給は倉庫作業員22.7万円、出荷・受荷事務23.1万円。事務に移れば給料が上がるとは言えない
- 会社によっては荷物の積み下ろしや早朝の仕事も入る
- 求人では雇用形態・現場の作業の範囲・使うソフトの3つを確かめる
まずは、出荷事務の求人を3件ほど開いて、雇用形態と仕事内容の欄だけ読み比べてみてください。
それだけで、自分が目指したい職場の形が見えてきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
同じ現場で働いてきた人間として、役に立ちそうなことをこれからも書いていきます。
この記事の出典
- 厚生労働省 job tag「出荷・受荷事務」(2026年9月21日確認)
- 厚生労働省 job tag「倉庫作業員」(2026年9月21日確認)

