電気工事の仕事に未経験・資格なしで入れる?物流から移って第二種電気工事士を取った私が、最初の仕事と資格の取り方を書きます
資格がないと、そもそも雇ってもらえないのかな。
入ったとして、最初は何をさせられるんだろう。
こんなお悩みに答えていきます。
本記事の内容
- 資格なし・未経験の人が、電気工事の会社で最初にする仕事
- 資格がないとできない作業(法律の決まり)
- 未経験の人がいちばんつらいのは、覚えることの多さ
- 物流の経験で役に立ったのは「段取り」
- 私が第二種電気工事士を独学2か月で取ったときのこと
- 第二種電気工事士の試験の日程・受験料・合格率
- 入る前に確かめたい3つ
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、物流業で10年働き、32歳で建設業へ移りました。
いまは電気工事が中心の会社で、現場の管理と営業をしています。
第二種電気工事士は、2020年に取りました。
法律の決まりは電気工事士法の条文で、試験の数字は電気技術者試験センターの公表資料で確認して書いています。
資格も経験もないのに電気工事の仕事なんて、と不安になりますよね。
結論から言うと、資格がなくても、電気工事の会社で働き始めることはできます。
ただし、最初の仕事は電気工事士の手伝いです。資格がないとできない作業が、法律で決まっているからです。
それでは、見ていきましょう。
資格なし・未経験で入った人が、最初にする仕事
私の会社に資格なし・未経験で入ってきた人は、最初に次の仕事をしていました。
- 材料運び
- 片付け
- 穴あけ
- ケーブルを通す手伝い
1つずつ説明していきますね。
材料運びと片付け
現場には、ケーブルや配管、器具などの材料が届きます。
それを使う場所まで運ぶこと、使い終わったあとを片付けることが、最初の仕事です。
地味に見えますが、どの材料がどこで使われるのかを覚える入口にもなります。
穴あけ
壁や天井に、ケーブルや配管を通すための穴をあける作業です。
ケーブルを通す手伝い
電気工事士がケーブルを通すときに、反対側で引っ張ったり、送り出したりする手伝いです。
ここで「手伝い」と書いているのには理由があります。次の章で説明します。
資格がないとできない作業がある【電気工事士法】
電気工事の中には、電気工事士の資格がないと、してはいけない作業があります。電気工事士法という法律で決まっています。
- 資格がないとできない作業の例
- 資格がなくてもできること
- 第二種と第一種の違い
資格がないとできない作業の例
電気工事士法施行規則(法律の細かい決まりを書いた、国の定め)の第2条には、資格がないとできない作業が並んでいます。
一般の住宅やお店の電気工事で、たとえば次のような作業です。
- 電線どうしをつなぐ
- 電線管(電線を守る管)などに電線を収める
- コンセントやスイッチなどの配線器具を取り付ける・電線をつなぐ(露出型のコンセント・スイッチの取り換えは除く)
- 電線管を曲げる・つなぐ
- 配電盤を取り付ける
- 接地線(アース)を取り付ける・接地極を地面に埋める
※ここに挙げたのは一部です。正確な一覧は、下の出典の条文で確かめてください。
資格がなくてもできること
同じ第2条には、「電気工事士が従事する作業を補助する作業」は資格がなくてもできると書かれています。
つまり、上の一覧にある作業は、資格がなければ電気工事士が行う作業の補助までしかできません。
前の章の「ケーブルを通す手伝い」を「手伝い」と書いたのは、このためです。
また、電気工事士法施行令(政令)の第1条には、資格がなくてもできる「軽微な工事」も決められています。電圧600ボルト以下で使うコンセントなどの接続器にコードをつなぐ工事や、ヒューズの取り付け・取り外しなどです(e-Gov法令検索「電気工事士法施行規則」第2条・「電気工事士法施行令」第1条より)。
第二種と第一種の違い
電気工事士には、第一種と第二種があります。
| 資格 | できる工事 |
|---|---|
| 第二種 | 一般の住宅やお店など、600ボルト以下で電気を受けている建物の電気工事 |
| 第一種 | 第二種の範囲に加えて、最大電力500キロワット未満の工場・ビルなどの電気工事 |
未経験から入る人が最初に目指すのは、第二種です。受験資格はなく、実務経験がなくても誰でも受けられます(一般財団法人 電気技術者試験センター「電気工事士の資格概要」より)。
未経験の人がいちばんつらいのは、覚えることの多さ
未経験で入った人を見ていて、いちばんつらそうだと感じるのは、覚えることの多さです。
材料の名前、器具の名前、工具の使い方、作業の順番。どれも最初は知らないことばかりです。
しかも、前の章のとおり、資格がないとできない作業があります。何を自分でしてよくて、何は電気工事士に任せるのか、その線引きも覚える必要があります。
覚えることのほかに、見習いのころに私がいちばん苦労したことや、夏と冬の現場の話は、電気工事の仕事はきつい?の記事にまとめています。
物流の経験で役に立ったのは「段取り」
物流から電気工事の会社に移って、役に立ったのは段取りの力でした。
物流の仕事は、荷物が届く時間、トラックの台数、人の配置を先に組んでおかないと回りません。
電気工事の現場も、材料が届く順番や、ほかの業者さんの作業との順番を考えながら進みます。先の作業を読んで準備しておく力は、そのまま使えます。
物流で身につけた力がほかの仕事でどう使えるかは、こちらの記事にもまとめています。
私が第二種電気工事士を取ったとき
ここからは、私が第二種電気工事士を取ったときの話です。
- きっかけは、自分から取ろうと思ったこと
- 独学で2か月勉強した
- 学科も技能も1回で受かった。技能は緊張した
- 受験料などは会社が出してくれた
- 取ってから、任される仕事が変わった
きっかけは、自分から取ろうと思ったこと
私が第二種電気工事士を取ったのは、自分から取ろうと思ったからです。
独学で2か月勉強した
勉強は独学で、期間は2か月でした。
学科も技能も1回で受かった。技能は緊張した
試験は、学科試験(知識を問う試験)と、技能試験(実際に配線を作る試験)の2段階です。
私は、どちらも1回で受かりました。
ただ、技能試験は緊張します。決められた時間の中で、支給された材料と自分の工具を使って、問題の配線を作り上げる試験だからです。
技能試験は、出題される候補の問題が前もって公表されています(一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士の試験概要」より)。
受験料などは会社が出してくれた
受験料などの費用は、会社が出してくれました。
いまの会社でも、資格のない新人には「取るように」と言っていて、受験料も会社が出します。
取ってから、任される仕事が変わった
資格を取る前と後で、任される仕事は変わりました。
前の章のとおり、資格がないとできない作業があるからです。
ただ、毎日の仕事の中身まで変わったわけではありません。資格を持っていて何が変わり、何が変わらなかったかは、こちらにまとめました。
第二種電気工事士の試験の日程・受験料・合格率
第二種電気工事士の試験は、1年に2回(上期・下期)あります。
令和8年度の日程と受験料
| 項目 | 上期 | 下期 |
|---|---|---|
| 申し込み | 2026年3月16日〜4月6日 | 2026年8月17日〜9月3日 |
| 学科試験(パソコンで解く方式) | 4月23日〜6月7日 | 9月24日〜11月8日 |
| 学科試験(紙に書く方式) | 5月24日 | 10月25日 |
| 技能試験 | 7月18日または19日 | 12月12日または13日 |
受験手数料は、インターネットで申し込むと11,100円、郵送で申し込むと12,500円です(どちらも非課税)。
令和8年度の申し込みは、上期・下期ともすでに締め切られています。次に受けられるのは、令和9年度の上期です。日程は電気技術者試験センターの発表を確かめてください。
合格率
| 年度 | 学科試験 | 技能試験 |
|---|---|---|
| 令和7年度(上期・下期の合計) | 56.6% | 71.8% |
| 令和8年度 上期 | 62.2% | 73.4% |
※合格者数を受験者数で割って計算しました。学科試験は、学科が免除された人を除いた数字です(一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験の試験結果と推移」より)。
取ったあと、電気工事施工管理技士へ
第二種電気工事士を取って実務経験を積むと、現場を管理する資格「電気工事施工管理技士」への道も開けます。
電気工事士を持っている人は、2級の受け方の順番が変わります。詳しくはこちらの記事に書きました。
電気工事士の年収と求人の数字
国の統計では、電気工事士の数字は次のとおりです。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 年収 | 628.1万円 |
| 平均年齢 | 41.6歳 |
| 有効求人倍率 | 3.84 |
| 求人賃金(月) | 28.4万円 |
※厚生労働省 job tag「電気工事士」をもとに作成(年収・平均年齢は令和7年賃金構造基本統計調査、有効求人倍率・求人賃金は令和7年度ハローワーク求人統計)
※この数字は、電気工事士に対応する職業分類(「電気工事作業員」など)の統計です。電気工事士だけの数字とは限りません。
※有効求人倍率は、仕事を探す人1人に対して、求人が何件あるかを表す数字で、採用されやすさを保証するものではありません。またハローワークの求人統計であり、民間の求人サイトの募集は含まれていません。
※年収は、経験を積んだ人も含めた平均です。未経験で入ったばかりの給料とは違います。
ほかの建設業の職種との比べ方は、こちらの記事にまとめています。
電気工事の会社に入る前に、確かめたい3つ
最後に、未経験で電気工事の会社に入る前に確かめたいことです。
- 資格を取るように言われるか、受験料を会社が出すか
- 最初は誰について仕事を覚えるか
- どんな建物の工事が多いか
資格を取るように言われるか、受験料を会社が出すか
私の会社は、資格を取るように言い、受験料も会社が出します。
ただ、これは会社によって違います。求人票に「資格取得支援」とあっても、中身は会社ごとに違うので、面接で「受験料は会社が出しますか」と聞いてください。
最初は誰について仕事を覚えるか
上で見た「資格がないとできない作業」は、資格のない人は電気工事士の補助としてしか関われません。
つまり、資格を取るまでは、資格を持った人について仕事を覚えることになります。誰について、どのくらいの人数の現場に入るのかを聞いておくと、入ってからの姿が想像しやすくなります。
資格とは別に、会社が受けさせる講習(特別教育)もあります。私の会社で新しく入った人に受けてもらうことが多いのは、低圧電気の特別教育です。くわしくは、建設業の特別教育の記事に書いています。
どんな建物の工事が多いか
一般の住宅やお店が中心なら第二種、工場やビルが多いなら第一種まで目指す、というように、会社の工事の中身で目指す資格が変わります。
応募する会社が決まったら、面接で聞かれることと準備のしかたは、電気工事の面接の記事にまとめています。
電気・設備の仕事の求人は、専門の転職サイトで探す方法もあります。ELECAREER(エレキャリア)には「未経験歓迎」の求人をまとめたページがあり、地域でも絞り込めます。
よくある質問
資格がないと、電気工事の会社には入れませんか?
入れます。私の会社にも、資格なし・未経験で入ってきた人がいます。
ただし、資格がないとできない作業が法律で決まっているので、最初は電気工事士の手伝いから始まります。
第二種電気工事士は、独学でも取れますか?
私は独学で2か月勉強して、学科・技能とも1回で受かりました。
ただ、勉強に使える時間は人によって違います。技能試験は工具と材料を使って練習する必要があるので、早めに始めることを勧めます。
第二種電気工事士に、受験資格はありますか?
ありません。実務経験がなくても、誰でも受けられます。
資格を取ったら、すぐに1人で工事ができますか?
試験に受かったあと、都道府県知事に申請して免状(資格の証明書)の交付を受けます。電気工事士として作業できるのは、免状を受け取ってからです。
まとめ|資格なしでも入れる。最初は手伝いから、資格は入ってから取れる
今回は、未経験・資格なしで電気工事の会社に入れるのかを、私の会社の新人と、私自身が資格を取ったときの話からまとめました。
- 資格なし・未経験でも入れる。最初は材料運び・片付け・穴あけ・ケーブルを通す手伝い
- 資格がないとできない作業は電気工事士法で決まっている。その作業には、資格のない人は電気工事士の補助としてしか関われない
- 未経験の人がつらいのは覚えることの多さ。物流の経験では段取りが役に立った
- 私は自分から取ろうと思い、独学2か月で第二種を取った。学科・技能とも1回。技能は緊張する
- 第二種の受験手数料はインターネット申込みで11,100円。合格率は令和7年度で学科56.6%・技能71.8%
- 入る前に、受験料を会社が出すか・誰について覚えるか・どんな建物の工事が多いかを確かめる
資格がなくても入り口はあります。
入ってから、会社の支えを使って資格を取る道もあります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
物流で身につけた段取りの力は、電気工事の現場でも使えました。
同じ現場で働いてきた人間として、役に立ちそうなことをこれからも書いていきます。
この記事の出典
- 電気工事士法施行規則 第2条(e-Gov法令検索)(2026年9月18日確認)
- 電気工事士法施行令 第1条(e-Gov法令検索)(2026年9月18日確認)
- 厚生労働省 job tag「電気工事士」(2026年9月18日確認)
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験」(2026年9月18日確認)
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「電気工事士の資格概要」(2026年9月18日確認)
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士の試験概要」(2026年9月18日確認)
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験の試験結果と推移」(令和8年8月更新)をもとに計算(2026年9月18日確認)

